Biologico,Inc.

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Think about seed law

種子法について考える

2018年3月末で廃止された種子法
海と月のグリーンマーケットでは真剣に考え、
わたしたちでできることについて
提案していきます。

魚沼産コシヒカリが食べられなくなる日

(種子法という法律が廃止になると…)

あなたは今、どこ産のお米を食べていますか?
お気に入りの産地、近所の農家さんから直接買っているかもしれません。
ただ近い将来、日本独自のおいしいお米が消えてしまうかもしれない…
という事実をあなたは知っていますか?
2018年3月末に種子法という法律が廃止されました。あまり馴染みが無く、知らない人も多い法律です。

種子法はわたしたち日本人にとってとっても大切な法律でした…
種子法とは一言でいうと、米、麦、大豆などの「主要農作物」を国が守り
‘安定的’に‘安く’農家さんに種を提供してきた法律です。
一見、私たち消費者にはあまり関係がないと思われる種子法。
突然廃止された今、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか?

種子法が廃止されたことでやってくる近い将来

種子法という法律が廃止されたことによって、近い将来こんなことになります。

1. 米、小麦、大豆の‘種の取り扱い’に民間企業が参入してくる
2. TPPとセットで廃止されたため、海外の企業も‘種の事業’に参入してくる

一見するとあまり大きな問題ではないように思えるこれらのこと、いったい私たち消費者にとってどのような影響があるのでしょうか?




私たち消費者に起こりうる影響について考えてみよう

では実際に種子法という法律が廃止されたことによって、私たちの身近でどんなことが起こるのか考えてみましょう。

1. お米の値段が大きく上がる
2. お米の品種を選べなくなる(いろいろな種類のお米を楽しめなくなる)
3. 遺伝子組み換えという表示がなくなる(遺伝子組み換えでない食品を選べなくなる)
4. 産地、産国の表示がなくなる(産地や産国を選べなくなり、地産地消できなくなる)


もしあなたが食品に対して健康に気をつけていたり、産地にこだわって選んでいたとしても、これからはそうした行動が強制的にできなくなるのです。

なぜ、こうした問題がおこるのか?
それには種子法、そして最近話題となっているTPP、多国籍企業による思惑など、さまざまな要因が重なっているからです。

1. お米の値段が大きく上がる
国が法律によって守ってきた種が民間企業に託されることによって、種の値段が上がります。そうなると、種に対する国家予算が割かれなくなる上に、民間企業の利益獲得のために種の値段が上がります。高い金額で種を買った農家さんは、お米をこれまで以上に高く売らなくてはならなくなるため、必然的にお米の値段が高くなります。

2. お米の品種を選べなくなる(いろいろな種類のお米を楽しめなくなる)
種子法廃止とほぼ同時に成立した農業競争力強化支援法には、「既存の多数の銘柄を集約する」という方向性が示されています。そして、公的な制度や予算などの支えがなくなるり、民間企業が種を扱うとすると、現在日本で作られている300品種もの米の種を維持したり、管理することはコスト面などから難しくなるでしょう。地域や気候にあった品種を無視し、ごく限られた少品種の作物しか作られなくなり、今食べているお米が食卓から消えるということもありうるのです。

3. 遺伝子組み換えという表示がなくなる(遺伝子組み換えでない食品を選べなくなる)
遺伝子組み換え食品の害をご存知でしょうか?遺伝子組み換え食品とは、作物に他の生物の持っていた遺伝子を入れて作られた作物です。
多くの研究、そして世間的に遺伝子組み換え食品は安全だといわれていますが、本当にそうでしょうか?
Tokyo DD Clinic院長、NPO法人薬害研究センター理事長である内海聡医師によると、遺伝子組み換え食品で認められている現在の害は3つあるとのことです。(参考:遺伝子組み換え食品の人体への影響)

以上のような危険性のある表品の表示が、TPPとあわせて種子法が廃止になるため、表示できなくなります。私たちの食卓に並ぶ食べ物がすべて遺伝子組み換え食品になる可能性が限りなく高くなるのです。

4. 産地、産国の表示がなくなる(産地や産国を選べなくなり、地産地消できなくなる)
TPPとの関係により、国産、外国産表示ができなくなります。さらに、国内でも産地の記入ができなくなり、地域の特色を生かした農作物が選べなくなります。
当然ながら、地産地消もできなくなるでしょう。
そして、実は種子法廃止やTPPなどで起こるこうした問題は、私たち消費者だけでなく、お米や野菜などをつくってくれている農家さんにも大きな影響があります。




農家さんたちに起こりうる影響について考えてみよう

では次に私たちに食べ物を届けてくれる農家さんたちにどんなことが起こるのか考えてみましょう。

1. 種の値段が大きくあがる(今後5~10倍程度あがると予想されている)
2. 企業に特許料を払って米・麦・大豆をつくらなくてはなくなる(生産価格のアップ)
3. 自分で種をつくれなくなり、農家さん独自の品種を自由につくれなくなる
4. 使用する農薬量、生産量、販売量もコントロールできなくなる
5. 遺伝子組み換えや産地などを表記できなくなる

これらの問題は、農家さんだけの問題では決してありません。私たち消費者と密接につながっていて、結局めぐりめぐってしわ寄せが襲ってくるのです。

1. 種の値段が大きくあがる(今後5~10倍程度あがると予想されている)
すでに出ているデータによると民間企業の種子の金額は、これまで各都道府県で推奨されてきた品種と比べ5~10倍高いとされています。農業を続けていくことが難しく、廃業する農家が増えることが懸念されています。

2. 企業に特許料を払って米・麦・大豆をつくらなくてはなくなる(生産価格のアップ)
これはすでに現実として起こっている問題です。例えばメキシコやフィリピンでは、モンサントという米国の会社に農作物のゲノムを解読され、特許をとられ、特許料を払いながら自国の農作物を作るという状況になっています。
TPPがこのまま進んでいけば、やがては日本でもメキシコやフィリピンで起こっている問題と同じことをされる可能性は非常に高くなるでしょう。

3. 自分で種をつくれなくなり、農家さん独自の品種を自由につくれなくなる
きちんとこだわりと持って農業に取り組まれている農家さんでは、使用する種からきちんと管理を行っています。場合によっては農家さん自身で種の採取までも行っています。
米国ではすでに州の法律によって、自家菜園や種の自家採取ができない州も出てきています。日本でもこのまま行けば、同じようなことになるかもしれません。

4. 使用する農薬量、生産量、販売量もコントロールできなくなる
多国籍企業との契約によって、農薬や収量、収穫物の販売先まで決められる。そうなると、無農薬、無化学肥料で農作物を作れなくなる。また、田んぼや畑の状態が違うのに同じ量の農薬や肥料を使わなくてはいけないため、農作物のできが変わる。
もし、契約で決めた量の農作物が作れなければ生産者のせいではないと証明しない限り、違約金がかかる。

5. 遺伝子組み換えや産地などを表記できなくなる
消費者に起こりうることの4つ目でも出てきましたが、TPPとの関係により、自分たちが作った農作物に「○○産」と記入することができなくなります。
さらに、「遺伝子組み換えではない」とも書けなくなるため、心を込めて作った農作物が安心・安全であるかどうか消費者に伝えられなくなるのです。




私たちから始められる小さな一歩について考えてみよう

安心・安全なものを食べるということがますます難しくなってきた現代。何をすれば私たちは良いのでしょうか。

1. 種子法廃止について知らない人に教えてあげよう
たくさんの人の声が必要なのですが、まだまだ知らない人が多い問題。家族、友人など大切な人に教えてあげて下さい。

2. 自分たちで食べ物を作ろう
忙しい現代。なかなか自分たちで食べ物を作ることは難しいかもしれません。大掛かりなことでなくてもかまいません。家庭菜園やベランダ菜園などから始めてみてはいかがでしょうか。
楽しみながらできる人は、最近はやりのパーマカルチャー(自給自足)を視野に入れてみてもおもしろいかもしれませんね。

3. 農家さんを応援しよう
頑張って農作物を作っている農家さんを見つけて、直接農作物を買う。これが一番簡単かもしれません。
また、種を守ろうとすでに動いている農家さんを応援するため、海と月のグリーンマーケットでは、無肥料栽培家・環境活動家の岡本よりたかさんが主催しているシードバンク(たねの学校)への寄付を集めています。
たねの学校とは、会員制のシードバンクで、種の保存、頒布が可能なシードバンクです。今回の寄付は、シードバンク設備構築のための支援金とさせていただきます。

健康だけでなく、私たち自身を作る食べ物。
食べ物は、安心・安全であることが大前提です。その大前提を脅かす種子法廃止は、私たち、そして子どもたちの未来を奪うことにつながります。
日本人一人ひとりが、自分にできることをやり、日本の地域の特性ある食文化と子どもたちの未来を守っていけたらと思います。